「マノックモア2010 13年 51.2%」
「ミルトンダフ1988 35年 45.4%」
どちらもボトラーズブランドであるフィントムソンのボトリングしたものでした。
価格はマノックモアが約1万8千円、ミルトンダフは約13万円です。
前者はバーボン樽由来の香味がしっかりついていますがそれだけでなく、熟成に由来するフルーツ系の香味と樽感もマッチしており、今風の味ではありますが “美味しいけど最近この味ばっかりだよね” 的なものとは別の香味でした。
そして何よりも、ウイスキーに欲しい熟成感とボディが丁度良く同居しており、詰め時感が素晴らしいと感じたのでした。
私は、 “美味しいけど最近この味ばっかりだよね” 的なバーボン樽のモルトが、飽きたとかではなくそもそもあまり好みではありません。
だからこそ、この自分の中での上位互換の出現に過剰反応した部分もあるのかもしれませんが、何度飲んでもちょうど良い美味しさで、味は強めなのに飲み疲れもせず、写真の通り自分で買ったボトルももうすぐ1本飲み終わってしまいそうです。
一方で後者のミルトンダフは、プレーン系の樽で長期熟成したモルトに感じられる突き抜けたフルーツ感があり昔で言うピアレス系と通じるようなところが感じられる一方で、過熟による抜け感やちょっと舌に引っ掛かる味も出ており、下がった度数から予測するよりさらにボディも軽かったのでした。。。
ここ数年、総評コメントと点数はほぼブランドテイスティングで書いているのですが、飲んでからスペックを見て、この2本が同じボトラーでこんなに好対照な仕上がりと値段であることに興味深さを感じたのでした。
ウイスキーは時間と共に熟成感を身に着け、それと同時にボディが抜けてくものです。
熟成感は突き抜けているけれどボディも個性もなくなったボトルというのはひと昔前まで主にボトラーズからそれなりに買える値段で出回っていたものでした。
※おそらくはオフィシャルのシングルモルト用ではないブレンド用の安価なプレーンカスクがボトラーズの手に渡り、それが長期熟成したものと推測されていました。
もちろん、ボディはあるけど熟成感のないもの、というのも昔からありました。
そんな中で、熟成感とボディがどちらもハイレベルで同居しているものというのが特別な存在として輝いていたのです。
私の愛する往年のサマローリなんかはその典型ですね。
個人的にはアルコール収量重視でない麦芽と作りで、多彩な香味を持つ原酒であることが条件だったのではないかと思っています。
昔のサマローリのようなレベルでというわけにはいきませんが、熟成感がありボディも抜けていない状態でボトリングされたものが最近でも自分の好みであることを、今回の2本を真剣にテイスティングして再認識したのでした。
ガロアのテイスティングでは、最終的に1万8千円のマノックモアに92点、13万円のミルトンダフに85点を付けました。
もちろんミルトンダフの持つ今や希少なピアレス香に魅力を感じる人やそれを高評価する人がいることも理解していますが、自分の考える良いウイスキーをきちんと点数と文字数制限のあるコメントで評価できたという意味で、満足感のあるテイスティングになったのでした。
なお最近は、Xでガロアのテイスティングが公開されています。
良かったらご覧ください。
https://x.com/_whiskygalore/status/1904709068465594508
https://x.com/_whiskygalore/status/1905088153393963502