ARDMORE 1990 32yo HUNTER LAING Old & Rare for MALTOYAMA 10th ANNIVERSARY 57%
香りは瓶底のアプリコットジャムやオレンジマーマレード、ワックス、少しアルマニャック、ラプサンスーチョン、わずかな獣臭、濡れたレザーと腐葉土。飲むと多彩で芳醇に広がる、レーズンなどドライフルーツ、樽感は強くコーヒーの渋味と微かなえぐみ、タールを伴うスモークがジャム感と共に余韻として長く残る。
モルトヤマの下野君が10周年記念の真打ちとしてボトリングした長熟のアードモアです。
実はテイスティングしてブログ用の記事まで書いたのに、ブログ更新ができなくなり公開し損ねたままになっていたボトルでした。
樽感は強くやや過熟なニュアンスもありますが、枯れ感はなく芳醇です。
原酒の個性と熟成感、そして樽の影響による多彩な香味があり、特に開けたてからの数か月はちょっとした体調の変化にすら影響を受けるのか飲むたびに印象が変わり、多彩な香味のうちどの要素を強く感じるかが日によって異なりました。過熟ゆえの個性とも思えますが、このボトルの特に興味深い部分だと思います。
やや厚化粧で我儘な演技派の熟年女優のようなイメージで、毎回さまざまな役柄を演じてくれました。
私は長熟で樽感の強く出たボトルは飲み疲れするので本来あまり好みませんが、それが魅力的と思える珍しいボトルとも言えそうです。
なお、下野君に確認しましたが間違いなくピーテッドのアードモアではなくノンピートのアードレアだということです。何かの間違いではないかと思うほどピートは香味の始まりから終わりまでしっかりと感じます。個人的にはピートとそれに付随する獣感や腐葉土っぽさがなかったら魅力は半減していたようにも思います。
現在、開けてから飲み続けて1年くらい経ち、瓶底から3cmくらいです。
開栓してすぐは上記のようにいろんなところに由来する要素がそれぞれ主張してきてまとまりがないカオスみたいな印象でしたが、現在はそのあたりが高次元でまとまってきましたね。そういうことを確認できたという意味でも興味深いボトルでした。
ずいぶん遅くなりましたがモルトヤマ10周年おめでとうございます。
今後のますますのご活躍を祈念致します。